大会長挨拶

第22回日本口腔機能水学会 学術大会

大会長 川上 智史

この度、第22回日本口腔機能水学会総会・学術大会を京都・同志社大学今出川キャンパスおよびWebにおいて開催させていただくことになりました。今回本学術大会では初めての試みとなる対面とWebのハイブリッド開催ということで、様々な困難がございましたが、学術大会をお引き受けいたしました。昨今、新型コロナウイルスの終息がいまだ兆しを見せない中での開催ですが、このような時こそ機能水を世の中に発信していかなければならないと考えており、本学術大会を開催するに至りました。

さて,本大会では「古都 京都で機能水を語る」をメインテーマにwith 機能水で安心・安全な生活医療の提供と題して多角的に機能水について考えていきたいと考えております。

1200年の歴史を持つ京都ですが、琵琶湖疏水により、琵琶湖の水を多目的かつ効率的に利用し、産業や文化を育んできたと言われております。京都府によると「豆腐、湯葉、伏見の銘酒など京都の豊富な地下水を利用して、昔から京都において造られ、全国的にも有名であり、生麩や和菓子の製造においても地下水は大きな役割を果たしています。また、京の底冷え、肥沃な土壌と、美しい川の水や地下水等、京都の自然条件が育てた京野菜は、精進料理や京漬け物としてあまりにも有名です。さらに、染色業においては、川で糊や染料を洗い流す友禅流しも行われていましたが、昭和30年以降、水質汚染を理由に中止されることとなり、現在では地下水を利用しています。」とあります。京都はそれだけ水と深い関係性があると言っても過言ではありません。

今回は食材としての水ではなく、「医療」に焦点を当てて、機能水について考えていきます。口腔は外部と接触しており、飛沫に限らずあらゆるものが口腔に入ってきます。咽頭部にはワルダイエル咽頭輪といういわゆる扁桃腺が存在しておりますが、第一次防御とも呼ばれる部位です。つまり口腔における医療は様々な外的要因から身を守ってくれるために必要なもので、口腔内環境によって疾患が左右される可能性も十分に考えられます。

今回の学術大会においては最新の知見として教育講演と特別講演に主を置き、機能水における新しい生活様式に役立てることができればと考えております。教育講演Ⅰでは機能水研究振興財団理事長:堀田国元先生に「コロナ禍と次亜塩素酸水~誤解と混乱のソリューションに向けて」、教育講演Ⅱでは国立感染症研究所安全実験管理部:高木弘隆先生に「ウイルスと口腔衛生:知られていること、知らなかったこと」とコロナ禍ならではの非常に興味深い内容のご講演をいただきます。また、特別講演Ⅰでは東海大学医学部教授・医学部長:坂部貢先生に「Glocalizationの視点から見たWater Pollutionの現状と対策―Environmental Signalsと関連させて―」、特別講演Ⅱではルイ・パストゥール研究所理事長:吉川敏一先生に「機能水研究の新展開」、特別講演Ⅲでは京都府立医科大学:内藤裕二先生に「COVID-19における腸内細菌が果たす役割とその重要性」、特別講演Ⅳでは東京医科歯科大学:荒川真一先生に「オゾンウルトラファインバブル水(OUFBW):小さな泡の大きな力」と題しまして最前線の研究をされている先生方にご講演頂きます。その他一般演題や企業ブリーフィングなどを予定しておりますが、残念ながら本学術大会においては昨今の社会情勢を鑑みて企業展示は行われません。

本大会が盛会となるよう、多数の会員の皆様のご参加を心よりお待ちしております。