会長挨拶

日本口腔機能水学会
会長 西田哲也

この度、2019年(平成31年)4月より、佐藤 勉先生の後任として日本口腔機能水学会の会長を仰せつかりました西田哲也と申します。
 本学会は2000年(平成12年)に設立された学会ですが、その前身は1994年(平成6年)に発足した強電解水歯科領域研究会であり、さらにその前身であるアクア酸化水研究会の数年をあわせますと、30年程の歴史のある学術団体となります。この間、機能水がまだ“魔法の水”と呼ばれていた時代から、本学会は脈々と学術的なエビデンスを積み上げて参りました。その結果、酸化水や電解水など様々な名称で呼ばれていた“魔法の水”は、日本機能水学会の設立とともに、「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中,処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの及びされようとしているもの」を『機能水』と定義され、“科学の水”と認知されるようになりました。
 元来、水は生命の源であり、空気と同じく我々人間にとってなくてはならない存在です。地球の表面の約70%は水に覆われており、成人の体の約2/3は水で構成されています。一方、水は科学的に解明されていない現象やメカニズムがある、“良く分からない物質”でもあります。その遍在性や神秘性から重要性と科学的な検証がおろそかにされることがあり、水の科学は似非科学の代表例のように言われ、また水は謎めいた商材となることもあります。
 水は水素と酸素の化合物であり、科学の対象物として作用機序・普遍性・再現性のそろった研究がされる必要があります。また、水は酸化水素(H2O)という単純な形態のみで存在することは少なく、様々な物質を溶かす溶媒として、何らかの溶質を加えた水溶液として存在し、“〇〇水”と称されます。加えられた溶質により、多様な性質を示すことになりますが、そのような状態の水に関しても、科学的な研究がされることが必要です。
本学会は、長年にわたる多くの方々の尽力により、口腔領域にとどまらず全身への効果や安全性、その基礎的な研究により“機能水”の解明がされた結果、疾病の改善、予防、健康増進に多大な貢献をしてきたと考えています。しかしながら、水には未だ科学的に検証、あるいは解明しなくてはならいないことが多くあるのも事実です。本学会でも引き続き、水の科学に寄与する有益な研究活動を推進して参りたいと考えておりますので、会員ならびに関係の皆様のご理解とご協力を賜りたくお願い申し上げる次第です。